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家を取り壊す


今年になって、実家の家を建て直すことが決まりました。
別に家が老朽化して住めなくなったというわけでもありません。ただ間取りが今の家族の暮らしのスタイルに合わなくなってきただけなのです。
家を取り壊すにあたり、あらためて家を見渡せば、長年生きてきた家の歴史を感じます。日本の風土や気候に合った造りは日本独特のもので、時代の流れとはいえ立派な日本家屋が壊されてしまうのは本当に残念です。
新しい技術や最新のシステムが取り入れられた家は、きっと便利で住み心地の良いものに違いないでしょう。
けれども、こうしてひとつ、またひとつと、この国からどんどん日本らしさが失われていくのはどうなんでしょう。もしかしたら100年後の日本の町は、また今の日本と全く違った町並みになっているかもしれません
イタリアの住宅は、新興住宅地は別として、築何百年といった建物が共同アパートになっているのが珍しくありません。
私がリヴォルノで住んでいたアパートも、築何百年といった古い建物でした。もちろんエレベーターなどはなく、毎日石の階段を上がり下がりしていました。私が住んでいたのはイタリアでいう2階、日本の3階にあたる階でした。しかし、天井の高さの違いでしょうか。1階分の階段が長いのです。私が住んでいたアパートは、おそらく日本のマンションの5階くらいの高さはあったように思います。
水2リットルのペットボトル6本(たいてい1度に6本買っていました・・)を買った時の、階段を上がるときの長く感じたこと!休憩を入れながらふうふう上がっていました。イタリアでは食料品はマンマが買ってきても、水の買出しは土曜日のお父さんの仕事だったりすることが多いみたいです。
建物の構造上、エレベーターをつけることは不可能な建物も多いです。それでも、街の景観を大切にし、古い建物に住みつづけているのです。
人々の生活は変わっても、私が住んでいた通り(下町です)は、100年前からそう変わっていないでしょう。そしてきっと100年後も同じ町並みがそこにあると思います。
イタリアでは、建物の外観を変えることを禁止・制限している地区が多くあり、また、日本の木造建物とは違って建物の寿命も長いので、日本とは事情も違うのでしょうが・・・
イタリア人が長いバカンスを過ごし、家族と過ごす時間を大切にし、ゆとりある暮らしができるのも、高い住宅ローンを背負い働き蜂にならざる得ない人が日本よりも少ないというのもあるのでしょうね。
家が長持ちするので、修復も日本ほどしなくていいようですし、築年数が古いと資産価値がどんどん下がる日本とは違い、築年数と資産価値はあまり関係はないようです。これも古い建物がほとんどだからでしょうね。

何人かの同世代のイタリア人の友人は、内装が何もない古いアパートを安くで買って、ほとんど自分の手でキッチンを入れたり壁を塗ったり、それを週末に少しずつやって、3年くらいかけて自分のアパートを完成させていました。
ある女の子のアパート完成お披露目パーティーに行ったこともありましたが、小さいながらもその子らしさが感じられる素敵なアパートでした。キッチンとつながったサロンには暖炉もありました。ひとつひとつ自分の手で手がけた内装を見る彼女の目は、とても満足げでした。トスカーナ郊外の小さな町にある彼女のアパートは、おそらく築500年はたっていると言っていました。
サロンの窓を開けると、また中世の頃から変わっていないであろうなだらかな田園風景が広がっていました。
話は元に戻りますが、日本らしさがどんどん消えていくのは本当に惜しいことだと思います。
イタリア人の知人の多くは、言葉の違い(アルファベットを使わない日本語)、物価が高い(今はそうでもありませんが)などの壁が、日本へ旅行する人を少なくしていると言います。
だけど、私はそれ以外にも、日本の殺伐とした町の景観にも問題があると思います。京都や奈良などの一部の観光都市を除き、昔ながらの旅館に泊まらなければ日本家屋を味わうことができない、一般の家ですら中途半端に洋風化してしまっている今の日本。和の良さを少し見つめなおす時にきているのでは?(31/08/03)


イタリアのアパート内部
住んでいたアパートの階段から・・・


          

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