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アッシジのバスの運転手さん




私が初めてアッシジを訪れたのは '97年に起きた大地震直後の冬のこと
町じゅういたるところの建物が修復中
そしてサンフランチェスコ教会もサンタキアーラ教会も入ることができませんでしたが
観光客の姿がほとんどないひっそりと静かな雰囲気のアッシジで
数日間、ゆっくりと滞在しました

大きな荷物を持った私は
初めて降り立ったアッシジの鉄道駅から
山の中腹にあるアッシジまでバスに乗りました
終点まで乗っていたのは私ひとり
その時のバスの運転手さんは
そのまま私の持っていた大きなスーツケースを
なんと予約をしていたホテルまで 案内がてら運んでくれました
滞在中アッシジから日帰りで行ったペルージャからの帰りも 偶然その運転手さんのバスでした
「やっぱりアッシジの方がいいだろう?」

とうとう私がアッシジを去るとき
バスに乗るとまたあの運転手さんでした
「○時○分発の列車でアッシジを発ちます いろいろお世話になりました」
運転手さんはとても残念そうでした
鉄道駅へと向かうそのバスの車内には
他にも何人か地元の人が乗り合わせていました
突然運転手さんは何かを思いたち
信号待ちのあいだ バスの中にいた他の人たちに相談事を持ちかけました
そしてバスは駅へ行く道を外れ 駅を通り越し
線路の向こう側の道を さらに進んでいきました

「最後にもうひとつ アッシジのいい場所へ連れて行ってあげる」

そう言ったバスの運転手さんは とある教会の前でバスを止めました
「荷物はバスの中に置いたまま大丈夫だから さぁ写真を撮ってきていいよ」
私は急いでバスを降りてその教会の中をさっと見学
そして教会の前に立つ大きな聖マリア像の前で記念撮影しました

バスの運転手さんのおせっかいなまでなやさしさ
そしてせかせかとせずゆったりと暮らす 一緒のバスに乗っていたアッシジの人びとのおおらかな心
このときに撮ったマリア像の写真を見るたびに
今でも心が温かくなります

もちろん…
バスの運転手さんは
その後ちゃんと列車に間に合うように
アッシジの鉄道駅までバスで私を送り届けてくれました
(10/08/04)






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