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眼鏡屋さんに通う・・・


イタリアでの年末年始のお祭りシーズン・・・
厳かなクリスマスが過ぎ、ドンちゃん騒ぎの大晦日、お正月はなんだかあっけなかったけれどそれでも過ぎて、お祭り気分の締めくくり1月6日「ベファナの日」・・・
夜いつものようにハードコンタクトレンズをはずすときに、うっかりレンズの片方を割ってしまいました。

あ〜あ、なんてこと・・・・

超ド近眼のわたし・・・、明日からどうやってこのイタリアで生きていったらいいのか・・・
・・・というのは大げさでしたが・・・
きっとまだクリスマスから続いていたお祭り気分が抜けていなかったのでしょう。
イタリア生活にも慣れてきて、気持ちが少したるんでいたのかもしれません。

次の日、コンタクトレンズをはめているバルバラに相談をしてみました。
「それなら・・・」と、家族で昔から御用達だという眼鏡屋さんを紹介してくれるという・・・仕事帰りの彼女と待ち合わせをして、一緒にその眼鏡屋さんへと向かいました。

「ボナセーラ」

割腹のいいシニョーラとアシスタントの女性で切り盛りしている店内は何人かの待っている客もいて、とても繁盛している様子でした。
シニョーラはバルバラを見つけると、
「御両親は元気?」
と、笑顔で話しかけてきました。

「今日は彼女のコンタクトレンズをお願いしたいのだけれど」

「まあ、はじめまして」

「はじめまして。実は昨日、レンズを割ってしまって・・・」

私がそう言うと、シニョーラは
「えっ?割った?」
と、もう一度私に聞き返しました。

なんだか嫌な予感がしながらも
「それでハードコンタクトレンズをつくって欲しいのですが・・・」
と言うと、シニョーラは
「ハードなんてない」
と言うではありませんか。あれあれ・・・。

イタリアでは付け心地のよさからか、ソフトレンズが主流らしいのです。(’99のことですが)

「イタリアではコンタクトレンズといえばソフトコンタクトレンズのこと。あなたもこの際、ソフトに変えればどう?」

そうは言っても、日本から送った1年分のハードレンズ洗浄液はもうすでに届いていました。それに片目だけなので、なんとかハードレンズをつくりたいという頑固な気持ちがその時には心の奥にありました。

「どうしてもないのですか?」
と、しつこく聞いてみると、
「工場から取り寄せたらある」
と、しぶしぶ答えたシニョーラ・・・それならそうとはじめから言ってくれたらいいのに!

結局、私はハードコンタクトレンズを取り寄せてもらうことにしました。
1ヵ月後にレンズが届くというので、それまでのあいだ、仕方なく眼鏡をかけての生活となってしまいました。

2月に入り、待ちに待ったコンタクトレンズを受け取りに行く日がやってきました。
その日、学校が終わるや否や、私は意気揚揚とシニョーラの眼鏡屋さんへ向かいました。

1ヶ月ぶりに眼鏡屋さんの扉を開けると、シニョーラが私を見て言いました。

「まあ、いらっしゃい。久しぶりね」

そして、顔色ひとつ変えずにこう言いました。

「まだあなたのコンタクトレンズは届いてないのよ。また2週間後にもう一度覗いてみて」

これがイタリア。
やっと今日で大嫌いな眼鏡から解放されると思っていたのに・・・がっかりです。

そして2週間後。もう届いているだろうと、私はふたたび眼鏡屋さんを訪れました。

「お待ちどうさま。届いているわよ」
と、早速奥の検査室で届いたコンタクトレンズを着けてみました。
それが見えないのです。
眼球とレンズのカーブが合わず、間に空気が入ってしまって見えないのです。

もう信じられませんでした。
もしかしてまた1ヶ月待たないといけないのでしょうか・・・。

「ごめんね。すぐ工場に文句を言って取り寄せるわ。2週間後にまた来てみてくれる?」

そうして2週間後に立ち寄ると、案の定また「2週間後に来てみて」という。
やっぱり1ヶ月後だったんじゃないの・・・と、内心思いながら、苦笑いするしかありませんでした。

いつまでも眼鏡をかけている私に、シニョーラの眼鏡屋さんを紹介してくれたバルバラは気の毒がってくれましたが、彼女には何の責任はありません。
これがイタリア・・・そう思うしかありませんでした。

3月の初旬、今度こそはと眼鏡屋さんへ行くと、やっとレンズが届いていました。

ふたたび装着してみると・・・見えない!また合わない!空気がまた入ってしまっていました。

さすがのシニョーラもすまながって
「本当にゴメンネ。1週間で取り寄せるから」

そして今度は、それから本当に1週間でレンズを取り寄せてしまいました。
3度目の正直、ようやく私の目に合ったコンタクトレンズが両目に収まりました。

やる気になれば1週間でできるんじゃないの・・・という思いと、今まであんなに待ったのは一体なんだったのだろう・・・という思い、、、
でもま、とりあえずはよかったよかった。

これでやっとうっとうしい眼鏡から解放されることになったけれど、もうあのシニョーラの眼鏡屋さんに立ち寄る必要がなくなったのか・・・と思うと、なんだかすこし淋しいような気もしました。

小さく薄い1枚のコンタクトレンズを待っている間に、いつのまにかもう春の足音が聞こえはじめていました。(14/05/2004)

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