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私が'98年夏から'99年初秋まで過ごしたイタリアの地方都市です。
トスカーナ州リヴォルノ県都。人口約17万人。
ルネッサンス後期にメディチ家によって築かれた理想都市。水路(fosso reale)が6角形に町を囲んでいて、「小さくて、タバコケースにしまいこまなければならない程優雅な小都市」といわれていました。
第二次世界大戦で大きな被害を受けたが、ヴェネツィア地区や町の象徴である2つの城塞などに今も昔の町の面影を残しています。
鉄道でフィレンツェから1時間あまり。斜塔で有名なピサの次の駅。
観光客もほとんど立ち寄らない、なんてことのない普通の町ですが、住むにはとてもいい町だと思います。
町のいたるところにいろいろな想い出がたくさん詰まっていて、私にとっては特別な存在の町です。
他にまだ訪れたことのない土地はたくさんありますが、休暇を取っては今もなぜかここに戻ってきてしまいます。
町の車道では、リヴォルネーゼ達の足であるバイクや車が風を切ってひっきりなしに走っている、ちょっと物騒な町ではあるけれど、それがリヴォルノらしいところ。「sempre casino(いつも騒がしい)」と苦笑しながらも、バイクでスルスルと町を移動してゆくリヴォルネーゼ達です。

リヴォルネーゼの性格は、明るく親しみやすく冗談好きだとよくいわれます。
成田発ミラノ行きの飛行機の中で、目立って明るいイタリア人グループがいました。乗り継いだミラノ発ピサ行きの飛行機でも一緒だったので話をしてみると、やっぱりリヴォルネーゼでした。
また、他の町からリヴォルノに着き、買い物をしていると、他の町との店員の対応の差をすごく感じます。よそよそしく英語で話しかけられることは絶対にないし(英語は通じない)、ブティックでは店員に「あなた痩せているわね。どうやってダイエットしたの?何か運動しているの?」と嬉しいことを言われることも。「試着したい」と言うと試着室に案内され、「ありがとう」とお礼を言うと「まぁ、冗談を」と肩を叩かれる…。暮らしていた頃は、行きつけの店に入ると、「チャオ、カッコリーナ」と、親しい友達のように声をかけられ、それも買い物の楽しみのうちでした。
リヴォルネーゼは冗談が好きで、友達の間ではいつも冗談を言っていますが、かなりきつい冗談を言うこともよくあり、相手を怒らしてしまうのではないかと、聞いている私がハラハラすることもたびたびでした。もちろん、そこはお互いどこまでが冗談か、わかっていているようでしたが。
リヴォルノの魅力は、この町に住むリヴォルネーゼ抜きでは語れないように思います。
リヴォルノは夕陽が本当に美しいです。
日が落ちる頃になると、海沿いの美しい散歩道を散歩しながら、海に張り出したテラスのようなマスカーニ広場にたたずみながら、人々は刻々と海に沈んでいく夕陽を眺めています。
淋しい時や落ち込んだ時、私もよく夕陽を眺めました。もちろん楽しいことがあった時も。
そういえば最近、夕陽を見ただろうか?
ここからはビルの谷間に落ちていく夕陽しか見えないけれど、それすらしばらく見ていない…。

暮れなずむマスカーニ広場
お昼時の静かなひととき、誰もいない海でパニーノをかじりながら「ああ、幸せ」と思ったり、夜、満天に輝く星空をひとり占めしたことに嬉しくなったり・・・。
この町で暮らして、お金をかけなくても幸せなことってたくさんあるんだなあと思いました。
毎日が充実していて、精神的に満たされ健康だったせいか、物欲というものがなくなりました。
ものが欲しいとか、海外へ旅行したいとか、全然思いませんでした。
自分にこんな生活ができるということは、私にとって新鮮な驚きでした。
きっと、今に満足していたからなのでしょう。
この町が好きで、この場所にいるだけでいい、そんな気持ちでした。
私がこのリヴォルノで過ごしたのは、長い人生の中でほんの1年2ヶ月。
短いイタリア暮らしでしたが、限りある時間だとわかっていたからこそ、毎日、1日1日を精一杯過ごしました。
まだまだ見てないもの、知らないこともたくさんあるでしょう。
けれども1年2ヶ月しかいなかったからこそ見えたものもあると思うのです。
これが5年10年となると、また違っていたかもしれません。
私が暮らした、トスカーナの海の町リヴォルノと、その周辺の町の紹介です。

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